「最近、髪質が変わってきた気がする」
40代くらいのお客様と話していると、そんな相談を受けることがあります。
でも実際には、最初から「髪が細くなりました」と気づく人ばかりではありません。
美容室でよく聞くのは、
「最近、めっちゃ髪抜けるねん」
という言葉です。
そこから少しずつ、
「短い毛が増えてきた気がする」
「前より細い毛が多い」
「トップがぺたんとする」
「なんとなく髪型が決まりにくくなった」
と、以前との違いに気づいていく人もいます。
年齢とともに髪に変化が見られること自体は珍しくありません。
でも僕は、すべてを「40代だから」「年齢だから仕方ない」で終わらせなくてもいいと思っています。
今の髪に合わせて、家でのケアを少し変える。
必要なら美容室で、カラーや髪型、施術方法を相談する。
年齢を重ねても、髪のためにできることはまだたくさんあります。
今回は40代以降のお客様を日々担当している美容師として、髪の変化を感じたときに何を見て、何から見直してほしいのかをお話しします。
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40代で「髪が変わった」と感じるのは珍しくない

髪は年齢に関係なく、ずっと同じ状態を保つわけではありません。
日本人女性を対象にした研究でも、40代以降で毛髪密度などに変化が見られたという報告があります。
また、年齢とともに髪の曲がり方が不規則になり、髪が揃いにくくなることでツヤの見え方が変化する可能性を示した研究もあります。
ただし、ここで大切なのは、
「40代になったら全員の髪が薄くなる」
「うねりが出たら老化」
と単純に考えないことです。
髪質にはもともと個人差があります。
カラーやパーマ、縮毛矯正などの施術履歴も違えば、髪の長さ、普段のスタイリング、頭皮の状態も違います。
だから美容室でも、年齢だけを見て判断することはありません。
お客様が最初に気づくのは「抜け毛」が多い
美容師側から見ると、
- トップの密度
- 分け目の見え方
- 根元のハリ
- 短い毛や細い毛の増え方
など、いろいろな変化があります。
でも、お客様自身が最初に気づくのは抜け毛であることが多いです。
「最近、めっちゃ抜けるねん」
と言われたとき、僕はすぐに、
「40代だからですよ」
とは答えません。
まず聞くのは、
「いつからですか?」
そしてもうひとつ、
「どんなときに抜けると感じます?」
と聞きます。
お風呂でシャンプーしたときなのか。
ドライヤーで乾かしているときなのか。
ソファーやリビングに落ちている髪が増えたのか。
朝起きたとき、枕カバーについている髪が気になるのか。
同じ「抜け毛が増えた」でも、何を見てそう感じたのかは人によって違います。
まずそこを聞くところから始めます。
抜け毛は「年齢」だけでは判断できない
髪には生え変わりのサイクルがあるので、健康な状態でも髪は抜けます。
季節によって抜け毛の感じ方が変わることもありますし、脱毛にはさまざまな原因があります。
だから、
「抜け毛が増えた=40代だから」
とは決めつけません。
季節の抜け毛については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
→ 秋・冬に抜け毛が増えた気がするのはなぜ?美容師が季節の抜け毛との付き合い方を解説
一方で、急に抜け毛が増えた、明らかに脱毛している部分がある、頭皮に強い炎症があるなどの場合は、美容室だけで判断せず皮膚科などの医療機関へ相談してください。
美容師は「抜けた本数」だけを見ているわけではない
抜け毛の相談を受けたとき、僕は実際に髪と頭皮も見ます。
髪では、
トップの密度、分け目、根元のハリ。
頭皮では、特に分け目や生え際などを見ます。
分け目を中心に、日焼けしていないかを見ることもあります。
ただし、美容師が頭皮を見ただけで脱毛症の原因を診断できるわけではありません。
僕たちができるのは、
「以前と比べてどう変わっているか」を、お客様と一緒に確認することです。
美容室へ定期的に通っている人なら、本人より美容師のほうが、
「前よりトップが少しぺたんとしてきたかな」
「最近、短い毛が増えたな」
と気づくこともあります。
これも、長く同じ人の髪を見ている美容師だからできることのひとつだと思います。
家でできること① まず、ちゃんと乾かす

髪が変わってきたと感じると、新しいシャンプーやトリートメント、頭皮用美容液などを買いたくなるかもしれません。
でも、その前に見直してほしいことがあります。
ちゃんと乾かしていますか?
すごく普通のことですが、意外と大切です。
以前、首の後ろから後頭部の下あたりに、できものなどの頭皮トラブルが出やすいお客様がいました。
話を聞いてみると、髪や頭皮を十分に乾かさず過ごすことがあったんですね。
そこでドライヤーできちんと乾かすようにしてもらったところ、その後、頭皮の状態は良くなりました。
もちろん、
「乾かしていなかったことが、できものの原因だった」
と美容師の僕が断定することはできません。
ただ、こうした経験もあるので、髪だけでなく頭皮まで濡れたままにしないことは、家でできる基本的なケアとして伝えています。
そしてドライヤーは、頭皮のためだけではありません。
別のお客様から、
「ちゃんとドライヤーしたら、めちゃくちゃ髪の毛綺麗になってん」
と言ってもらったことがあります。
こういうの、僕は結構うれしいんです。
高いヘアケア商品を買ったわけでも、難しいことを始めたわけでもない。
毎日の乾かし方を少し変えただけ。
ホームケアは、まずこのくらいからでもいいと思っています。
家でできること② 今の髪に合うシャンプーへ見直す
若い頃から同じシャンプーを使い続けていて、特に問題がないなら、年齢だけを理由に変える必要はありません。
ただ、
「以前より髪がまとまりにくい」
「頭皮が気になるようになった」
「今までのシャンプーだと仕上がりが違う気がする」
という変化があるなら、見直すタイミングかもしれません。
大切なのは、
「40代用だから」ではなく、今の髪と頭皮に合わせて選ぶこと。
頭皮が気になるからといって、全員がスカルプシャンプーへ変える必要もありません。
→ スカルプシャンプーとは?美容師が「使ったほうがいい人」と選び方を解説
シャンプーの成分を全部覚える必要もありません。
髪質と、どんな仕上がりにしたいのか。
そこから考えるほうが選びやすいと思います。
→ シャンプー選びで迷ったら?髪質と仕上がりから考える選び方
家でできること③ トリートメントは「たくさん」より使い方
パサつきが気になると、
「もっとトリートメントをつけたほうがいいかな」
と考える人もいます。
でも、量を増やせば増やすほど髪がきれいになるわけではありません。
僕が家で意識してほしいのは、
必要なところへ、きちんとなじませること。
毛先を中心になじませて、必要なら粗めのコームなどを使って髪全体へ行き渡らせる。
そして最後はきちんとすすぐ。
「少し残したほうが効きそう」と思って、すすぎを甘くする必要はありません。
→ トリートメントの正しい使い方|美容師が家でやってほしい3つのポイント
アウトバストリートメントも、オイル・ミルク・ミストのどれが一番優秀という話ではありません。
今の髪質やダメージ、欲しい仕上がりに合わせて選べば大丈夫です。
→ 洗い流さないトリートメントはオイル・ミルク・ミストどれ?美容師が選び方と使い方を解説
家でできること④ 頑張りすぎない
40代からのヘアケアというと、
「エイジングケアを始めなきゃ」
「頭皮ケアもしなきゃ」
「もっとトリートメントしなきゃ」
と、やることを増やしたくなるかもしれません。
でも僕は、頑張りすぎなくてもいいと思っています。
美容室では、きれいにしようと頑張りすぎた結果を見ることもあります。
毎日しっかりアイロンをして、前髪がバシバシになっている。
こなれた束感を出そうとして、オイルをつけすぎてベタベタになっている。
トリートメントを効かせたいから、すすぎを少なくしている。
全部、髪をきれいにしたくてやっていることなんですよね。
だからホームケアは、
「何を足そう?」だけではなく、「やりすぎていることはないかな?」
と考えてみるのも大切です。
悩みが2つ以上重なったら、美容室で相談してほしい
家でできることはたくさんあります。
でも、全部を自分で解決しなくてもいいんです。
僕がひとつの目安として考えているのが、
自分で言葉にできる髪の悩みが、2つ以上重なってきたとき。
たとえば、
「毛先のダメージがひどい」
だけでなく、
「カラーのダメージも気になる」。
あるいは、
「うねりが気になる」
そして、
「トップもぺたんとしてきた」。
こうなってくると、一つの商品や一つのケアだけで考えるより、一度美容師に相談してもらったほうが整理しやすいと思います。
なぜなら、一つの悩みだけを解決しようとすると、別の悩みとのバランスが悪くなることがあるからです。
しっとりさせたいから重いケアを増やしたら、トップのボリュームが出にくくなる。
うねりを抑えたいから毎日アイロンを頑張ったら、毛先のダメージが気になってくる。
美容室なら、
髪型、髪質、カラーや縮毛矯正などの施術履歴、家でのケアまで含めて、どこから見直すかを一緒に考えられます。
「髪質改善」という言葉だけで決めなくてもいい
40代以降のお客様から、
「髪質改善したら、このうねりも伸びる?」
と聞かれることがあります。
これも、すぐにYESとは答えられない質問です。
「髪質改善」は美容室によって使われ方が違い、トリートメント系の施術もあれば、ストレート施術に近いものまであります。
ツヤや扱いやすさを求めているのか。
実際にクセを伸ばしたいのか。
目的によって選ぶ施術は変わります。
→ 酸熱トリートメントを美容師がやめた理由|効果は感じた。でも安全性への不安も
「40代だから髪質改善をする」のではなく、今、一番困っていることを美容師に伝える。
そのほうが、自分に必要な施術へたどり着きやすいと思います。
抜け毛や頭皮の変化は、美容室だけで解決しようとしない
もうひとつ、大切な線引きがあります。
美容師は毎日たくさんの髪や頭皮を見ています。
でも医師ではありません。
急激に抜け毛が増えた。
円形など、明らかに脱毛している部分がある。
頭皮に強い赤みや炎症がある。
こうした場合は、シャンプーやトリートメントを次々と変えるより、皮膚科などの医療機関へ相談してください。
「美容室でできること」と「医療で診てもらうこと」は分けて考える必要があります。
そのうえで、
「最近ちょっとボリュームが気になる」
「頭皮ケアを始めてみたい」
という段階なら、美容室でも相談してください。
毎日の頭皮ケアを考える入口として、サロンで扱っている商品を提案することもあります。
→ プテロシャンプーを美容師がレビュー|女性の頭皮ケアの入り口としてすすめる理由
まとめ|40代からも、髪のためにできることはたくさんある
40代くらいになると、
抜け毛が気になったり。
短い毛や細い毛が増えたように感じたり。
トップがぺたんとしてきたり。
以前とは違う髪の変化に気づくことがあります。
でも、
「年齢だから仕方ない」
ですべて終わらせる必要はありません。
まず、ちゃんと乾かす。
今の髪に合うシャンプーを選ぶ。
トリートメントを正しく使う。
そして、頑張りすぎない。
それだけでも変わることはあります。
高価なものを全部そろえる必要も、毎日完璧にケアする必要もありません。
一方で、自分で言葉にできる悩みが2つ、3つと重なってきたら、一度美容室で相談してみてください。
今の髪を見ながら、
「これは家でできそう」
「ここは美容室で変えてみよう」
と整理するだけでも、選択肢は増えます。
年齢を重ねても、髪のためにできることはまだたくさんあります。
全部を頑張るのではなく、今の自分の髪に必要なことをひとつずつ。
それくらいから始めてみてください。

