シャンプーやトリートメントを見ていると、
「18MEA配合」
「18MEA類似成分配合」
といった言葉を見かけることがあります。
少し前には、メーカーが新しいダメージケア技術として大きく紹介していたこともあり、美容師の間でもよく話題になった成分です。
最近では以前ほど「18MEA」という名前だけが前面に出ることは少なくなりましたが、ダメージケアを考えるうえでは、僕も今でも注目しています。
ただし、
18MEAが入っている=いいシャンプー、いいトリートメント
と考えているわけではありません。
そもそも18MEAとは何なのか。
そして「○○配合」という言葉と、どう付き合えばいいのか。
美容師として商品を使ってきた経験も交えながら解説します。
この記事には広告・P Rを含みます。アフィリエイト広告を使用しています。
Table of Contents
18MEAとは?
18MEAは「18-メチルエイコサン酸(18-Methyleicosanoic Acid)」という脂質の一種です。
健康な髪では、キューティクルの最表面に存在しています。
髪全体から見ると非常にわずかな成分ですが、毛髪表面を水になじみにくい状態に保ったり、髪同士の摩擦を減らしたりすることに関係しています。
簡単にいうなら、髪の表面をなめらかに保つために関わっている脂質です。
だから18MEAそのものは、ダメージケアを考えるうえで今でも興味深い存在だと思っています。
18MEAが失われると髪表面はどう変わる?

18MEAは髪の表面にあるため、ずっと同じ状態で残っているわけではありません。
カラーやブリーチなどの化学処理、紫外線、日々の摩擦などによって損なわれていきます。
18MEAが失われた毛髪表面は、水になじみやすい性質へ変化し、摩擦も大きくなります。
すると、
- 指通りが悪く感じる
- 髪が絡まりやすくなる
- 毛流れが整いにくくなる
- ツヤが出にくく感じる
といった、ダメージ毛でよく感じる変化にもつながります。
もちろん、髪のダメージは18MEAだけで説明できるものではありません。
カラーやブリーチを繰り返した髪では、キューティクルだけでなく、髪の内部にもさまざまな変化が起きています。
18MEAはダメージを考えるためのひとつの要素。
そのくらいに考えておくのがいいと思います。
ヘアカラーやブリーチでも18MEAは失われる
18MEAについて調べると、
「ヘアカラーをすると18MEAが失われる」
という説明を見かけます。
これは単なる美容業界の宣伝文句ではなく、酸化染毛やブリーチなどの化学処理によって毛髪表面の脂質層が損なわれることは研究でも確認されています。
メーカーの研究では、1回のヘアカラー処理によって毛髪表面の18MEAが大きく失われたという報告もあります。
ただし、
「カラーを1回したら、あなたの髪の18MEAが必ず○%なくなる」
とまで考える必要はありません。
使用する薬剤や処理条件、もともとの毛髪状態などによってダメージの受け方は変わります。
ここで大切なのは数字を覚えることより、
カラーやブリーチを繰り返す髪では、髪表面の状態も変化している
と知っておくことだと思います。
「18MEA配合」ならダメージ毛にいい?
ここが、僕がこの記事でいちばん伝えたいところです。
18MEAは、毛髪表面に関係する大切な成分です。
だから「18MEAに着目したヘアケア」という考え方そのものには意味があります。
でも、
パッケージに「18MEA配合」と書いてあるだけで、その商品の実力までは判断できません。
実際、18MEAはヘアケア製品へ単純に配合しただけでは、毛髪表面へ持続的に吸着させるのが難しいことも知られています。
どんな形で配合するのか。
ほかの成分とどう組み合わせるのか。
髪へどう届け、どう残すのか。
そこまで含めて商品は設計されています。
つまり大切なのは、
「18MEAが入っているか」だけではなく、「18MEAをどう生かす商品設計になっているか」。
ここは、成分表だけではなかなか分からないところです。
「いい成分は多いほどいい」とも限らない
これは、僕自身がオリジナルの商品を作ったときにも感じたことがあります。
以前、商品開発に関わったとき、
「保湿成分なら、たくさん入れたほうがいいだろう」
と、入れられるだけ入れて試したことがありました。
ところが、実際に使ってみると重い。
保湿成分をたくさん入れたからといって、僕たちが求めていた仕上がりにはならなかったんです。
そこで配合を見直して少し減らしてみると、そのほうが仕上がりのバランスがよくなりました。
しかも結果的には原価まで下がりました。
この経験は、今の商品選びにもかなり影響しています。
いい成分が入っている。
たくさん入っている。
だから、いい商品。
必ずしも、そんな単純な足し算にはなりません。
成分より「バランスと商品力」を見る
現在のヘアケア商品には、本当にさまざまな考え方があります。
植物由来の成分を中心にしたものもあれば、毛髪科学を生かしたケミカル寄りの商品もあります。
その両方を組み合わせた商品もあります。
僕自身も、どれかひとつが正解だとは考えていません。
髪質やダメージ、求める仕上がりによって使い分けます。
18MEAも同じです。
ダメージケア成分として注目はする。
でも、
「18MEAが入っているから、この商品にしよう」
とは考えません。
ほかの補修・保湿成分との組み合わせ、洗浄成分、使用感、仕上がり、そしてメーカーがその商品で何を目指しているのか。
最終的には、処方全体のバランスと商品力を見ます。
これはシャンプーの洗浄成分を選ぶときも同じです。
→ シャンプーの良し悪しは洗浄成分だけで決まる?美容師が成分表との付き合い方を解説
18MEAを知っても、成分表に取り憑かれなくていい

18MEAは、髪のキューティクル表面に存在し、摩擦を減らしたり、髪表面の性質を保ったりすることに関わる脂質です。
カラーやブリーチなどによって失われやすいため、ダメージケアを考えるうえでも興味深い成分です。
だから、18MEAについて知ることには意味があります。
ただし、
18MEA配合だから100点。
入っていないからダメ。
そんな見方をする必要はありません。
僕自身、昔はいろいろな成分を細かく調べて、「この成分が入っているからいい」「これは入っていないからダメ」と考えていた時期もありました。
でも、実際に商品を使い、自分でも商品作りに関わってみると、成分ひとつでは説明できないことがたくさんあります。
18MEAも、商品を知るためのひとつの情報。
最後に大切なのは、
その成分をどう組み合わせて、どんな髪のために、どんな仕上がりを作る商品になっているのか。
成分表のひとつの名前より、バランスと商品力。
今の僕は、そんなふうにヘアケア商品を見るようにしています。

