ゆっこさん
「私の髪、傷みやすいんです」
サロンでもよく聞く言葉です。
たしかに、髪質によってダメージの影響が出やすいと感じることはあります。
ただ、実際に髪を見ていると、
「これ、髪質だけが原因ではなさそうだな」
と感じることも少なくありません。
毎日のアイロン、濡れたまま寝る習慣、カラーなどの施術履歴、髪のもつれ。
今の髪の状態は、生まれ持った髪質だけではなく、いろいろなものが重なった結果です。
髪質そのものは簡単には変えられません。
でも、毎日の習慣の中には変えられるものがあります。
今回は「傷みやすい髪質は本当にあるのか?」という話から、美容師が髪のどこを見てダメージの原因を考えているのかまで、少し詳しく紹介します。
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実際に「ダメージの影響が出やすい」と感じる髪はあります
まず、「傷みやすいのは全部生活習慣のせい」という話ではありません。
サロンワークをしていて、僕がダメージの影響を受けやすいと感じるのは、たとえば次のような髪です。
- もともと髪が細い
- 年齢とともに髪が細くなってきた
- もともとの髪色が比較的明るい
特に、細い髪やエイジングによって細くなってきた髪は、日々のダメージが表面に出やすいと感じます。
毛髪に関する研究でも、加齢に伴って毛髪表面のキューティクルが日常的なグルーミングによる負荷に弱くなることや、50歳以上の女性の細い毛髪では、太い毛髪よりキューティクルの層が少なかったことなどが報告されています。
年齢とともに「昔と同じように扱っているのに、なんだかパサつく」「髪が弱くなった気がする」と感じるのも、単なる気のせいとは限りません。
もともとの髪色が明るい人は?
これもサロンワークでは、ダメージの影響が出やすい印象を持つことがあります。
毛髪に含まれるメラニンは髪色を決めるだけでなく、光による毛髪への影響とも関係しています。
ただし、「明るい髪=必ず紫外線に弱い」と単純に決められるものではありません。
髪色だけでなく、髪の太さ、施術履歴、日常的にどの程度紫外線を浴びているかなども含めて考える必要があります。
髪質によって、ダメージの影響の出方には違いがある。
まずはこのくらいに考えておくとよいと思います。
でも、美容師は「髪質」だけを見ていません

お客様から、
「私、傷みやすい髪質なんです」
と言われたとき、美容師は髪の太さやクセだけを見ているわけではありません。
たとえば、
- 毛先だけ妙に硬くなっている
- 後頭部からつむじ下のダメージが強い
- 手ぐしを通しただけで途中で引っかかる
- 根元から髪がもつれている
- 濡らした途端に指通りが悪くなる
こうした**「どこが、どんなふうに傷んでいるのか」**も見ています。
そこから生活習慣や施術履歴を想像して、カウンセリングで確認していきます。
のぶさん
もこちゃん
もちろん、生活習慣を当てて怒りたいわけではありません。
原因になっていそうなものが分かれば、今より傷ませにくい方法を一緒に考えられるからです。
毛先が硬い。毎日アイロンしていませんか?
毎日のアイロンの影響を疑うとき、僕がひとつ見ているのが乾いた状態での毛先の硬さやごわつきです。
ただ、それだけで「毎日アイロンしていますね」と決めつけるわけではありません。
使用頻度が高いのか。
温度が高いのか。
同じところへ長く熱を当てているのか。
カラーなど、ほかのダメージと重なっているのか。
そこはお客様に聞きながら考えます。
ヘアアイロンなどによる高温の熱は、毛髪のケラチン構造や水分保持に影響し、繰り返すことでダメージにつながることが研究でも確認されています。
一度強くダメージした髪を、トリートメントだけで完全に元の状態へ戻すことはできません。
もちろん、だからといって「アイロンをやめましょう」だけで終わらせるつもりもありません。
アイロンがあるから毎朝のスタイリングが楽になる方もいますし、好きな髪型を楽しむために必要な方もいます。
僕がお客様によくお伝えするのは、
「同じところに長く留めず、滑らせるように使ってください」
ということ。
実際に目の前でアイロンを使ってもらい、当て方を確認することもあります。
アイロンを使うか、使わないか。
ゼロか100かではなく、使うなら髪への負担をできるだけ減らす。
その考え方でいいと思っています。
毎日ヘアアイロンを使っている方は、温度だけでなく、一度に挟む毛束の量や、同じ場所を何度も往復していないかも一度確認してみてください。
ヘアアイロンの温度と、できるだけ髪へ負担をかけにくい使い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 毎日ヘアアイロンするなら何度がいい?美容師が教える温度と傷ませにくい使い方
後頭部ばかりもつれる。濡れたまま寝ていませんか?
もう一つ、サロンで比較的気づきやすいのが髪のもつれです。
乾かさずに寝ることが多い方は、同時にブラッシングやコーミングの習慣が少ないこともあります。
カウンセリングのとき、髪の量感を見るためにさっと手ぐしを通す。
その段階ですでに引っかかる。
さらにシャンプー台で髪を濡らした瞬間、指が通りにくくなることもあります。
特に僕が気になるのは、
後頭部からつむじ下、首の後ろあたり。
この部分だけ、もつれやダメージが強く出ていることがあります。
髪全体が均等に傷んでいるのではなく、毎晩枕に触れる場所へ集中している。
そんな状態を見ると、髪質だけではなく普段の乾かし方や寝るときの状態も確認します。
濡れた髪は、髪同士が絡んだ状態で強い力がかかると切れ毛につながることがあります。
だから「髪が傷みやすいから仕方ない」と考える前に、毎晩同じ場所へ負担をかけていないかも一度見直してみてほしいところです。
もつれやすい人は、シャンプー前にブラッシングを
髪がもつれやすい方には、僕はシャンプー前のブラッシングをかなりおすすめしています。
もつれたまま髪を濡らすと、シャンプー中も指を通しにくくなります。
すると、
- 地肌まで指を入れにくい
- 生え際や根元まで洗いにくい
- シャンプー中にさらに髪が絡む
といったことが起こりやすくなります。
お客様自身が髪をとかすとき、案外、根元からきちんととかしていないこともあります。
美容師はブラシやコームを根元まで入れてとかすので、
「毛先じゃなくて、根元から結構もつれてるな」
と気づくこともあります。
もつれやすい方は、シャンプーを変える前に「洗う前に髪を整える」を試してみてもいいと思います。
「全部ちゃんとやってください」では、たぶん続かない

では、乾かさず寝ている方に何をしてもらうか。
理想を言えば、きちんと乾かしてから寝てもらいたい。
でも、普段ほとんど乾かしていない方に、
「今日から毎日、ブラシを使って完璧にブローしてください」
と言っても、なかなか続きません。
そもそも、その前にもやることがあります。
- 根元の水分をタオルでしっかり取る
- 毛先はゴシゴシせず、タオルで挟むように水分を取る
- ブラッシングしてもつれを整える
- 余分な水分を取ってから洗い流さないトリートメントを使う
正直、ここまででも面倒ですよね。
だから僕は、その先をお客様と相談します。
「この先、どこまでなら協力してもらえそうですか?」
① 前髪と頭頂部の根元だけ乾かす
まずは前髪と、頭のてっぺんあたりの根元だけ。
全部は無理でも、ここだけドライヤーを使ってみる。
② 後ろ・内側まで根元を乾かす
もう少しできそうなら、後頭部や髪の内側までドライヤーを入れて、根元を乾かす。
③ ブラシは使わなくていいので、全体を乾かす
きれいにブローする必要はありません。
まずはドライヤーだけで、全体を乾かすところまで。
④ できそうなら、最後にブラシと冷風まで
全体が乾いたら、ブラシを通しながら冷風で髪を冷ます。
ここまでできれば十分です。
でも、最初から④を目指さなくても構いません。
のぶさん
普段と違うことを一つやってみる。
それで翌朝、
「いつもよりまとまりやすいかも」
「今日はもつれが少ないかも」
と感じられたら、続ける理由ができます。
ホームケアは、100点を一日だけ取るより、自分が続けられることを見つける方が大切だと僕は思っています。
「傷みやすい髪だから仕方ない」で終わらせなくていい
髪が傷みやすいと感じる理由は、一つではありません。
- 生まれ持った髪質
- 年齢による髪の変化
- ヘアカラーなどの施術履歴
- アイロンなどの熱
- 濡れた状態での摩擦やもつれ
- 毎日の乾かし方やブラッシング
いくつもの要素が重なって、今の髪の状態になっています。
だから、細い髪やエイジング毛など、ダメージの影響が出やすい髪質があることは否定しません。
でも、
「私は傷みやすい髪質だから、何をしても一緒」
と諦める必要もありません。
髪質そのものを変えるのは難しくても、毎日のアイロンの当て方を少し変えることはできます。
濡れたまま寝ているなら、まず根元だけ乾かしてみることもできます。
もつれが多いなら、シャンプー前にブラッシングしてみることもできます。
全部やらなくても大丈夫です。
変えられない髪質より、まずは変えられそうな習慣を一つ。
そこから始めてみるだけでも、これからの髪との付き合い方は変わってくると思います。

