先日、お客様と話していたときのこと。
「美容室って、トイレに行くタイミングが分からないんですよね」
と言われました。
……そこ、気を遣ってたんだ。
美容師にとっては毎日のことなので、考えたこともありませんでした。
でも聞いてみると、
「料金っていつ決まるの?」
「予約したメニュー、当日変えてもいい?」
「シャンプーで“かゆいところあります”って本当に言っていいの?」
など、意外といろいろあるらしい。
美容師には当たり前。でも、お客様には意外と謎。
そこで今回は、美容室で今さらちょっと聞きづらいことに、現役美容師の僕が答えてみます。
「そんなに気にしなくて大丈夫ですよ」もあれば、
「できれば、それは今言って(笑)」もあります。
美容室へ行く前に、気楽に読んでみてください。
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Table of Contents
1.美容室でトイレに行くなら、いつがいい?
これは美容師によって多少違うと思いますが、僕の場合のベストタイミングは、
カラーやパーマなどの放置時間に入った直後。
カラーを塗り終わって、
「では、このまま○分くらい置きますね」
というタイミングです。
パーマなら巻き終わって薬剤をつけたあと。
ストレートなら薬剤を塗り終わったあと。
クロスを外したり、ターバンを整えたりする必要はありますが、僕の場合はこのタイミングなら大丈夫です。
さらにありがたいのは、薬を塗っている途中に、
「このあとトイレ行ってもいいですか?」
と一言。
こちらも準備できます。
ただし、ダメージが強い髪など、薬剤を細かく見ながら施術している場合は、放置中より先に流したいこともあります。
なので一番確実なのは、
「トイレ行きたいんですけど、いつがいいですか?」
と聞いてもらうこと。
美容師がタイミングを案内します。
2.逆に、美容師的に「今かー!」となるトイレのタイミングは?
あります(笑)。
代表的なのが、
「じゃあ流しましょうか」というタイミング。
カラーのチェックをして、
よし、流そう。
と思ったところで、
「トイレ行っていいですか?」
これはちょっと、
今かー。
となります。
薬剤は時間を見ながら施術しているので、できれば先に言ってもらえると助かります。
そして、もうひとつ。
シャンプーの途中。
これはたまにあります。
特にご高齢のお客様などは我慢するのが難しいこともあるので、その場合はもちろん遠慮せず言ってください。
美容師側で対応します。
ちなみに、薬剤を塗る前やシャンプーを終えたあとなら、薬剤的にはまったく問題ありません。
ただ、その間は美容師の手も止まるので、予約が詰まっているサロンでは少し時間がずれ込むこともあります。
トイレは我慢するものではないので、ちょっと早めに言う。
これがいちばん平和です。
3.「かゆいところありませんか?」って、本当に言っていいの?
言ってください。あれ、本当に聞いてます。
「決まり文句だから、“ありません”って答えるのが正解なのかな?」
と思っている方もいるようですが、そんなことありません。
僕のサロンでも、
「あります」
という方は月に5人くらいいらっしゃいます。
「どこですか?」と聞くと、
「ここ」って指差ししはります。
もちろん、そこを洗います。
ただ、かゆいところだけをポリポリかくわけにもいかないので(笑)、その部分を意識しながら、結局もう一周する感じになります。
だから遠慮はいりません。
ただし。
全部洗って、きれいに流し終わってから、
「やっぱり、ここかゆいです」
と言われると、
さっき聞いたやん。
シャンプーのとき言ってよー(笑)。
となります。
「かゆいところありませんか?」は、本当に答えていい質問です。
かゆかったら、そのとき教えてください。
4.シャンプー中、首は持ち上げた方がいい?
これはもう、
完全に美容師に委ねてください。
襟足を洗うとき、美容師が頭を持ち上げると、
「重いかな?」
と思って一緒に首を上げてくださる方がいます。
全然重くありません。
むしろ力を抜いてもらった方が洗いやすいです。
お客様自身で首を持ち上げると、首とクロスの間に隙間ができて、水が服の中へ流れてしまうこともあります。
なので、
頭は美容師に預けてしまって大丈夫。
ただ、美容師側としては、お客様がずっと首に力を入れていたら、
「不安なのかな」
「シャンプーが気持ちよくなくて、リラックスできてないのかな」
と考えるポイントでもあります。
頭を預けるのが怖いなら、それも遠慮なく言ってください。
5.シャンプー中、目は閉じる?開ける?
どっちでも大丈夫です。
うちでは顔にガーゼをかけるので、基本的には気になりません。
ただひとつだけお伝えすると、
ガーゼの下で目を開けているの、美容師にはわりとバレています。
「えっ? なに? どうしたん? ええー、怖いー」
と、ちょっとだけなります(笑)。
シャンプー台には、大きく分けて美容師がお客様の横に立つタイプと、頭側に立つタイプがあります。
昔からある横から洗うタイプでは、顔にガーゼをするサロンが多いと思います。
ヘッドスパなどでよく使われる頭側から洗うタイプでは、ガーゼを使わないお店もあります。
このタイプ、お客様から美容師はあまり見えません。
でも、
美容師からはお客様の顔、見えてます。
お互いちょっと気まずいので(笑)、迷ったら閉じておけば平和です。
6.パーカーで美容室に行ってもいい?

これは僕の場合、
できれば本当にやめてほしいです。
特に肩より長い髪。
フードが首〜肩まわりにあると、髪が本来落ちる位置が変わってしまいます。
レイヤーや軽さのあるスタイルなら、ある程度なじませられる場合もあります。
でも、毛先をきれいにそろえる切りっぱなしボブやワンレングスはかなり困ります。
ウルフ系でも、フードに髪が乗って毛先がめくれたようになると切りにくい。
美容師は髪一本だけを見て切っているのではなく、首や肩に対して髪がどう落ちるかも見ています。
その土台に大きなフードがあると、基準そのものが変わってしまうんです。
美容室の日は、できれば首まわりがすっきりした服がおすすめです。
タートルネックや大きな襟も、施術内容によって邪魔になることがあります。
ピアスやイヤリング、ネックレスも、カラー剤がついたり道具に引っかかったりする可能性があるため、必要なら施術前に外してもらいます。
迷ったら、その場で美容師に聞けば大丈夫です。
7.着付けとヘアセットの日、前開きじゃない服で来たらどうなる?
これは普通の美容室の日より、かなり重要。
できれば前開きの服で来てください。
特に着物に合わせるヘアセットは、襟に負けないよう後頭部にボリュームをつくることがあります。
きれいにセットしたあと、頭からかぶる服を脱ぐ。
かなり難しいです。
実際に前開きではない服で来られた場合、近所なら一度着替えに戻ってもらったり、ご家族に服を持ってきてもらったりすることもあります。
遠方から来られて時間もない。
そんなときは、
トイレなどでいったん服を脱いでもらう。
タオルとクロスを巻く。
とりあえずセットを始める。
その間にご家族に服を持ってきてもらう。
スタッフに余裕があれば、前開きのシャツを買いに行く。
そんな対応をしたこともあります。
そして時々、
「あ、これボロいので。家帰ったら破るんでいいです」
という強者もいます(笑)。
襟ぐりがかなり広い服なら、セットを崩さないよう下から脱げる場合もあります。
なので忘れてしまっても、まずは美容師に相談してください。
でも一番安心なのは、
着付け・ヘアセットの日は前開き。
これだけ覚えておいてください。
8.美容室の料金って、いつ決まるの?
サロンによって料金体系は違います。
ロング料金があるお店。
髪の状態によって前処理が必要になるお店。
トリートメントを追加する場合。
予約したメニューから変更する場合。
いろいろあります。
僕のサロンでは、ロング料金や必要になりそうな処理剤・トリートメントがあれば、施術前に説明します。
なので、基本的には始める前に料金が分かります。
薬を塗ってから、
「蓋を開けてみたら、わぁー。追加料金です」
みたいな施術は、普通はそんなにないと思います。
不安ならカウンセリングのとき、
「今日、全部でいくらくらいになりますか?」
と聞いて大丈夫。
お金のことなので、むしろ最初に確認しておいた方がお互い安心です。
9.髪が傷んでいたら、前処理やトリートメントを勝手に追加される?
少なくとも僕は、有料のものを勝手には追加しません。
髪の状態を見て必要なら、
「この状態なら、前処理を入れた方がいいと思います」
と説明します。
ただし、ここには少し難しいところもあります。
かなりダメージしていて、
このまま何も処理せず施術するのは厳しい。
美容師がそう判断することもあります。
以前は、
「傷んだら切るから、安い方でそのままやって」
というお客様に出会うこともありました。
最近はあまりありませんが、必要な処理について説明しても納得いただけない場合、僕は施術そのものをお断りすることもあります。
料金を上げたいからではなく、美容師として引き受けられる施術には限界があるから。
もちろん、ここはサロンによって考え方が違います。
追加料金が心配なら、施術前に確認しておくのがおすすめです。
10.予約したメニューは、当日変えてもいい?
これもサロンと予約状況によります。
いつも担当しているお客様なら、
「もしかしたら今日はカラーもするかな」
など、ある程度こちらで想定できる場合もあります。
髪質や履歴が分かっているので、施術時間を読みやすいこともあります。
予約枠に余裕があれば、
「やっぱりパーマもしたい」
などの変更に対応できることもあります。
でも、後ろの予約が埋まっていれば無理なこともあります。
そのときは、
ごめんなさい。今日は諦めてください。
逆にメニューを減らす場合。
もちろん変更はできます。
ただ美容師側では、突然そこに空き時間が生まれます。
「迷惑!」とまでは思いませんが、
どーしよー、この時間。
とはなります(笑)。
特に完全歩合で働くフリーランス美容師さんなどは、収入にも影響する可能性があります。
迷っているメニューがあるなら、予約時に、
「カラーもするかもしれません」
と伝えておくと、お店側も時間を考えやすくなります。
11.仕上がってから「もう少し切って」って言っていい?
言って大丈夫です。
せっかく美容室に来たのだから、気になるところは伝えてください。
ただ、美容師の心の中を少しだけお話しすると、
ちょっと辛いときはあります(笑)。
なぜなら「もう2cm切る」が、単純に毛先を2cm切れば終わりとは限らないから。
美容師は長さを決めたあと、その長さに合わせて厚みを取り、毛先の質感や束感までつくっています。
スタイルによっては、
30分かけて完成させたものを、もう一度かなり作り直す。
そんなこともあります。
洋服でたとえるなら、
ズボンの裾を少し上げるというより、ジャケットのサイズを直す感じ。
長さが変わると、ほかの部分とのバランスも変わるからです。
もちろん、それも含めて美容師の仕事。
同時に、
「最初のカウンセリングでもう少し確認できたかな」
と美容師側が反省するところでもあります。
だから遠慮して我慢する必要はありません。
できれば途中で、
「もう少し短くてもいいかも」
と思った時点で言ってもらえると、かなり助かります。
12.美容師としゃべらなくてもいい?スマホや読書は?
全然いいです。
カウンセリングに必要な受け答えだけしてもらえれば、あとは無理に会話しなくても大丈夫。
スマホを見る。
雑誌を読む。
目を閉じる。
静かに過ごす。
好きにしてください。
美容師側も、お客様全員が会話を楽しみに美容室へ来ているとは思っていません。
ただ、カット中に本やスマホをずっと下の方で見ていると、頭も一緒に下がることがあります。
そうすると美容師から見える髪の位置も変わります。
雑誌の場合は、切った髪がページの間に大量に入ることも。
そのためカット中は雑誌をすすめない美容師もいます。
僕はどちらでもいい派ですが、必要なときはこちらから、
「ちょっとだけ顔上げてもらっていいですか?」
と声をかけます。
しゃべらない=感じが悪い、ではありません。
美容室くらい、好きに過ごしてください。
13.商品をすすめられたら、断ってもいい?
もちろん大丈夫です。
シャンプーやトリートメント、スタイリング剤。
美容師からすすめられると、
「買わないと悪いかな」
と思う方もいるかもしれません。
でも、美容師の仕事は無理に買ってもらうことではありません。
僕の場合は、お客様が選べる選択肢を増やしたいと思って提案しています。
今の髪なら、これが合いそう。
こういう悩みなら、こんな方法もある。
サロンとして提案できる中から、良いと思うものを伝える。
選ぶのはお客様です。
なので断っても大丈夫。
ただし。
僕がおすすめした商品の説明をした直後、放置時間に後ろを通ったら、
スマホで同じ商品をネット検索している。
……ちょっとだけ悲しい(笑)。
いや、冗談です。
自由に比較してください。
ただ、お客様との距離感は美容師側も少しずつ学習します。
何度か提案して、
「この方は商品をすすめられるのが苦手そうだな」
と感じれば、だんだん提案しなくなることもあります。
欲しくないものは断って大丈夫。
逆に気になるものがあれば、
「私の髪ならどれがいい?」
と聞いてもらえると、美容師はかなり答えやすいです。
美容室には、知らなくても困らない「暗黙のルール」が結構ある
今回この記事を書こうと思ったきっかけは、お客様から言われた、
「美容室でトイレに行くタイミングが分からない」
という一言でした。
美容師として長く働いていると、当たり前になりすぎて説明していないことがあります。
シャンプーでは首の力を抜いていい。
「かゆい」と本当に言っていい。
しゃべりたくなければ、しゃべらなくていい。
料金が心配なら先に聞いていい。
メニューを迷っているなら相談していい。
知らなくても恥ずかしいことではありません。
そして美容室には、思っているほど厳しいマナーもありません。
ただ、
パーカーだけは、できればやめてください(笑)。
特に切りっぱなしボブの日は。
美容師側にも「こうしてもらえると助かる」はあります。
でも分からなかったら、その場で聞いてもらえば大丈夫です。
美容室は髪をきれいにする場所。
暗黙のルールを完璧に予習してから来る場所ではありません。
美容室では、髪型のオーダーだって上手に伝えようとしなくて大丈夫です。
「おまかせ」「2センチ切って」「軽くして」みたいな、伝わりそうで実はちょっと曖昧な言葉を美容師がどう受け取っているのかは、こちらの記事で詳しく書いています。
→ 「おまかせ」「2センチ」「軽くして」美容師に伝わりそうで実は困るオーダーの話
「これ聞いていいのかな?」と思ったことほど、案外、美容師は普通に答えてくれます。
そして僕ら美容師にとっては、
「そんなところ、気を遣ってくれてたんだ」
と気づくきっかけにもなります。
