鏡を見ていたら、キラッと光る一本。
「……白髪?」
一本見つけると、なぜか次も探したくなります。
そして美容室でもよく聞かれるのが、
「そろそろ白髪染めにした方がいいですか?」
という質問です。
でも美容師としては、白髪を見つけたからといって、すぐにいわゆる「白髪染め」へ切り替える必要はないと思っています。
そもそも、白髪染めは○歳から始める、と年齢で決めるものではありません。
白髪の量や生えている場所、今まで楽しんできた髪色、そして何より「白髪をどのくらい気にしているか」で、選択肢は変わります。
この記事では、白髪が少し気になり始めたときから、白髪が増えてきたときまで、僕がサロンでどんなふうにカラーを考えているのかをお話しします。
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白髪染めは何歳から始める?

白髪が出始める年齢には個人差があります。
髪の色は、毛包にある色素をつくる仕組みによって生まれます。その働きが加齢などに伴って変化し、メラニンが少なくなった髪が白髪として生えてきます。
ただし、白髪が増え始める時期やスピードは人によって違います。
だから、
「○歳になったから白髪染め」
という線を引く必要はありません。
ゆっこさん
のぶさん
僕が最初に聞きたいのは、
「白髪染めをしますか?」
ではなく、
「これから、どんな髪色にしたいですか?」
です。
そもそも「白髪染め」って何色?
初めて白髪を気にし始めたお客様と話していると、「白髪染め」という言葉そのものに漠然としたイメージを持っていることがあります。
「暗くなるんですか?」
「茶色?」
「焦げ茶みたいになる?」
そんな質問も珍しくありません。
でも実際のヘアカラーは、
おしゃれ染めか、白髪染めか。
そんなにきっぱり二つに分かれているわけではありません。
白髪にも色を入れたいなら、白髪に染まるブラウンなどの色素をカラー設計に少し加える。
明るさを残したいなら、それに合わせて薬剤を組み合わせる。
美容室では、白髪の量や希望する明るさ、これまでのカラー履歴を見ながら調整できます。
だから僕は、
「白髪が出たから白髪染めに変える」
というより、
「今までのカラーに、白髪をなじませる要素を少し足す」
くらいから始めてもいいと思っています。
白髪が少ないうちは「隠す」より「なじませる」
白髪が数本見つかった程度なら、最初から全部をしっかり茶色に染める必要はないケースも多くあります。
僕自身、白髪がまだ少ないお客様なら、普通の明るいカラーに白髪へ色を入れるための薬剤を組み合わせて、全体になじませることがあります。
美容師としての経験では、白髪率10%前後までなら、こうした方法でもなじませやすいと感じています。
もちろん10%という数字は「ここまでは絶対に大丈夫」という境界線ではありません。
白髪が顔まわりに集中しているのか、全体に散らばっているのか。
地毛が暗いのか、すでに明るくカラーしているのか。
それだけでも見え方は変わります。
大切なのは、
白髪を100%染めることより、鏡を見たときに気にならないこと。
最初の白髪染めは、そのくらいの感覚でもいいと思います。
白髪を見つけても、本数を数えなくていい
これは美容師をしていて、ちょっと面白いなと思うことがあります。
白髪が生え始めたお客様って、白髪を探すんです。
一本見つける。
すると、
「他にもあるかな?」
と探す。
次に美容室へ来たときには、
「今日、白髪何本あります?」
と聞かれることもあります。
でも僕は、
探さなくていいですよ。
とお話しします。
探したら、見つかるからです(笑)。
のぶさん
本数が一本増えたかどうかより、
「鏡を見たときに気になるようになった」
「分け目の白髪が目につく」
「今までのカラーでは満足できなくなった」
そんな変化の方が、染め方を考えるサインになります。
そして、白髪を抜くのはおすすめしません。
白髪を抜いても次に生えてくる髪が黒髪になるわけではありませんし、繰り返し抜くことは頭皮や毛包への負担にもなります。
気になる数本なら、根元から短くカットしたり、一時的に隠すアイテムを使ったりする方法もあります。
白髪が増えてきたら、染め方を変える
白髪が増えてくると、少ない頃とはカラーの考え方が少し変わってきます。
特に難しくなってくるのが、
「明るい髪色を楽しみたい」
という場合です。
美容師としての感覚では、白髪率が30%を超えるくらいになってくると、黒髪を明るく染めただけでは白髪だけが浮いて見えるケースが増えてきます。
白髪が悪いというより、白髪と黒髪の明るさの差が大きいんですね。
そんなときは、
- ブリーチを使った細めのハイライト
- ライトナーを使って黒髪側を明るくする
- 必要に応じて軽めのブリーチを使ったダブルカラー
など、黒髪側の明るさを白髪へ近づける方法も選択肢になります。
一方、
「明るくしなくていいから、白髪をしっかり染めたい」
という方なら、従来の白髪染めで落ち着いたブラウンにするのも立派な選択です。
白髪は必ずぼかさなければいけないわけでも、明るくしなければいけないわけでもありません。
その人が好きな髪色であることが一番です。
初めての白髪染めで、いきなり暗くしなくてもいい
初めて白髪を見つけると、
「ちゃんと隠さなきゃ」
と思ってしまうかもしれません。
そこで最初から濃いブラウンでしっかり染めてしまう。
もちろん暗い髪が好きなら問題ありません。
ただ、
これからも明るいカラーを楽しみたい人なら、最初から必要以上に暗くしなくてもいい。
これが僕の考えです。
一度かなり暗く染めると、あとから明るくしたくなったときに、それまでのカラー履歴を考えながら施術する必要が出てきます。
白髪を見つけた瞬間に、この先ずっと同じ白髪染めを続けると決める必要はありません。
少しなじませるところから始めてもいい。
明るくして目立ちにくくしてもいい。
あえて染めないという選択もあります。
初めて白髪を染めるときの考え方については、別の記事でも詳しく紹介しています。
白髪が増えると、今度は「白髪が味方」になる

白髪染めについて、僕がお客様によくする話があります。
白髪が生えてくるのって、言い方を変えれば選択肢が増えることなんです。
最初の頃は、白髪は敵に見えます。
一本見つけて、
「隠さなきゃ」
と思う。
少し増えてくると、黒髪とのコントラストが気になる。
ところが、さらに白髪が増えてくると状況が変わります。
美容師としては、白髪率が50%を超え、さらに70%くらいまで増えてくると、白髪そのものをカラーのベースとして活かしやすくなったと感じる場面があります。
白髪にはもともと黒いメラニン色素が少ないため、黒髪を明るくするときとはカラーの見え方が違います。
そのため白髪の割合が多くなると、若い頃の黒髪では表現するのが難しかった淡いペールトーンの色を楽しみやすくなることもあります。
もちろん白髪率だけで仕上がりが決まるわけではありません。
髪質、残っている黒髪、これまでのカラー履歴によって、できることは変わります。
それでも僕は、
「白髪が増えたら、できる髪色が減っていく」
とは考えていません。
むしろ、あるところから選択肢が増えてくる。
これは長くお客様の髪を染めている美容師として、白髪の面白いところだと思っています。
おしゃれ染めから白髪染めへ「切り替える」必要はある?
ここまで読むと、
「じゃあ、おしゃれ染めから白髪染めに切り替えるタイミングはいつ?」
と思うかもしれません。
でも実際には、ある日を境に薬剤を丸ごと切り替えるとは限りません。
白髪の割合が増えるにつれて、白髪へ入れる色素の量を変えたり、明るさを調整したり、ハイライトを組み合わせたり。
少しずつカラー設計を変えていくこともできます。
「おしゃれ染め」と「白髪染め」の違いや、ダメージについては別の記事で詳しく解説しています。
また、
「美容室で染めるべき?自宅でも大丈夫?」
という方はこちらも参考にしてください。
白髪染めを始める日は、自分で決めていい
白髪染めは何歳から始めればいいのか。
僕の答えは、
年齢では決めなくていい。
です。
白髪を一本見つけたからといって、すぐに暗い白髪染めを始める必要はありません。
まだ気にならないなら、そのままでもいい。
少し気になるなら、今までのカラーになじませてもいい。
増えてきたら、ハイライトなどを使って黒髪との明るさを近づける方法もある。
そして、もっと白髪が増えてきたら、その白さを活かして今までできなかった髪色を楽しむこともできます。
白髪は、最初はどうしても「隠したいもの」に見えます。
でも美容師から見ると、それだけではありません。
白髪が生えてくるのは、言い方を変えれば、髪色の選択肢が増えること。
だから最初の一本を見つけても、そんなに慌てなくて大丈夫。
まずは次の白髪を探すのをやめて(笑)、
これからどんな髪色を楽しみたいか。
そこから考えてみてください。

