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AIで作った髪型は美容室で再現できる?美容師が感じた「AIヘアカタログ」の注意点

AIで作ったヘアカタログを見ながら、実際の髪質や毛量、生えぐせを踏まえて美容師と髪型を相談する大人女性のイラスト

最近、美容室のカウンセリングで、新しいものを見せてもらう機会が増えてきました。

自分の顔写真を使って、AIでいろいろな髪型を試した「AIヘアカタログ」です。

ショートやボブ、レイヤースタイル。前髪を作ったり、なくしたり、髪色まで変えたり。ひとつではなく、何パターンも作って持ってきてくださる方もいます。

僕自身、ここ3か月ほどで5人くらいのお客様から見せてもらいました。他の担当者からも時々聞くので、これからもう少し増えていくのかもしれません。

40代以上のお客様が使っているのを見ると、なるほどなと思う部分もあります。

街で見かけるヘアカタログは、モデルさんが若いことも多いですよね。「この髪型は好きだけど、若いモデルさんの写真を美容師に見せるのはちょっと……」という方でも、自分の顔ならイメージしやすいのかもしれません。

自分の顔で髪型を試せるなら、普通のヘアカタログより分かりやすそう!

ゆっこさん

そうなんです。

美容師としても、AIヘアカタログを持ってきてもらうこと自体は全然嫌ではありません。むしろ、何もないより分かりやすいことも多いです。

ただ、実際のお客様の髪を触りながらAI画像を見ると、少し気になるところもあります。

顔は本人でも、画像の中にある髪まで「本人の髪」とは限らないんです。

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AIヘアカタログは「なりたい雰囲気」を伝えるには便利

AIヘアカタログを見ていて、これは便利だなと思う部分もたくさんあります。

特に分かりやすいのが、全体の雰囲気やシルエット、前髪、カラーの好みです。

メンズなら、ツーブロックが好きなのか嫌いなのか。アップバングにしたいのか、センターパートやサイドパートが好きなのか。

レディースなら、レイヤーをどのくらい入れたいのか。内巻きなのか外ハネなのか、カールは強めなのか柔らかめなのか。

前髪もかなり分かりやすいです。シースルーなのか厚めなのか、ワイドバングなのか。ずっと前髪を作っていなかった方が、「作ったらどうなるかな?」と考えるときにも参考になります。

カラーも、言葉だけで説明するより「こういう雰囲気の色」というイメージは伝わりやすい。

言葉では説明しにくい「こんな感じ」が、画像になって見える

ここはAIヘアカタログのいいところだと思います。

「自分の顔だから、このまま自分の髪になる」とは限らない

AIヘアカタログと実際の髪質・毛量・生え際を美容師が見比べてカウンセリングするポイント

普通のヘアカタログを見るときは、モデルさんの写真だと分かっています。

ところがAIで自分の顔に髪型を合わせると、一気に現実味が出ます。

目の前にあるのは「自分がその髪型になった画像」です。だから、実際に美容室で同じように切れば、そのままこの姿になれそうに感じるのかもしれません。

でも、美容師がその画像を見るときは、似合っているかどうかだけを見ているわけではありません。

僕なら、まず毛量を見ます。次に髪の質感。軟毛なのか硬毛なのか、髪が細いのか太いのか、クセはあるのか。現在のカラーの状態も確認します。

さらに、生え際の位置や顔とのバランス、眉の高さ、もみあげの位置なども、画像と実際のお客様を見比べます。

AI画像にある髪と、目の前にある本当の髪。その違いを確認している感じです。

ズレを感じやすいのは、髪質・生え際・毛量

これまで僕が見たAIヘアカタログで、特に違いを感じるのは髪質、生え際、毛量です。

たとえば実際には柔らかい軟毛なのに、画像では毛先がツンと立ち上がった、少し硬さのあるショートになっていることがあります。

ツヤも、とてもきれいに表現されることがあります。実際には年齢とともにうねりやパサつきが出ている髪でも、画像の中では表面がなめらかに整っている。

近い雰囲気へ持っていくこと自体はできるかもしれません。ただし、同じようにカットすれば、その質感まで自然に再現されるわけではありません

場合によってはパーマがあった方が扱いやすかったり、ストレート系の施術をした方が毎日のスタイリングが楽だったりします。

そこは画像だけではなく、実際の髪を見ながら判断します。

生え際と襟足は、画像以上に仕上がりへ影響する

AI画像を見るときに、もうひとつ確認するのが生え際です。

画像では顔まわりの髪がきれいに配置されていても、実際にはこめかみの生え際がもう少し後ろだったり、その部分の毛量が少なかったりすることがあります。

同じ長さに切っても、画像よりおでこが見えたり、顔まわりが少し透けて見えたりすることがあります。 前髪や後れ毛が落ちる位置も変わります。

襟足も同じです。

AI画像では首元がすっきり短く収まっていても、実際のお客様はもっと下まで髪が生えていることがあります。

その画像と同じ位置まで短くしようとすれば、トリマーを使って襟足を処理する必要が出る場合もあります。そうすると、短くした部分には少しジョリジョリした感触が残ります。

女性のお客様の場合、そこまで短く処理することを好まれない方もいます。

完成した髪型だけではなく、「実際にどこから髪が生えているか」もヘアスタイルを作る条件のひとつなんです。

AI画像と実際の髪が違うときは、先に説明します

僕の場合、AI画像だと分かったときは、わりとはっきりお伝えします。

この画像、AIですよね。少し実際の髪とズレるところがあるので、そこだけお伝えしますね。

のぶさん

もちろん、顔だけAIで変えているのか、髪まで全部生成されているのか、画像を見ただけでは断言できないこともあります。

そのうえで、

「画像の方が少し髪に硬さがありますね」

「同じように立ち上げるなら、スタイリングに少しコツがいります」

「この感じならパーマがあると楽かもしれません」

「実際の生え際に合わせると、前髪の落ち方は少し変わりそうです」

というように、鏡を見ながら説明します。

AI画像が間違っていると否定するのではなく、この画像を実際の髪で作るならどうなるのかを一緒に考える。

説明ができたら、そこから施術に入ります。

画像に近づけても、家での作り方は違うことがある

AI画像では、アイロンを使って作ったような毛流れや丸みがきれいに表現されていることもあります。

カットで近い形を作ることはできても、家で同じ雰囲気にするには毎朝アイロンが必要というケースもあります。

スタイリング剤についても、画像と同じ方法がその人に合うとは限りません。

たとえば、画像ではワックスやジェルを使ったような束感が出ている。でも柔らかい軟毛のお客様が同じようなものをつけると、その重さで髪がペタッとしてしまう。

そんな髪質なら、画像の質感をそのまま追いかけるより、ハードスプレーなどを使ってドライな状態で形を保つ方が合うこともあります。

目指している髪型は同じでも、そこへたどり着く方法まで同じとは限りません。

カットだけでいいのか。パーマが必要なのか。アイロンを使うのか。何をつけて仕上げるのか。

美容室を出た瞬間だけではなく、自分で扱えるところまで考えて着地点を決めます。

9パターンあっても、意外と困らない

AIで髪型を試していると、一度にたくさんの候補が出てくることがあります。

「9枚も美容師に見せたら迷惑かな」と思うかもしれませんが、僕はそれほど困りません。

むしろ何枚かあることで、その人が何を好きで、何をあまり好きではないのかが見えてきます。

メンズなら、ツーブロック、アップバング、センターパート、サイドパート。レディースなら、レイヤーの高さ、内巻き・外ハネ、カールの強さ、前髪の厚さなど。

「この中なら、どれが似合うと思います?」という相談の仕方でも大丈夫です。

特に前髪は、自分の顔で複数のパターンを見比べられるので便利だと思います。

ただ、全部同じくらい好きだと美容師も少し迷います。

第一候補と第二候補くらいまで教えてもらえると、かなり分かりやすいです。

AIが作った「美容師へのオーダー文」は、そのまま読まなくて大丈夫

最近は画像だけではなく、「美容師さんにはこう伝えてください」とオーダー文まで用意してくれるAIもあります。

これも参考にはなりますが、僕が見たものでは専門用語が少し多い印象もありました。

そして、ちょっと面白いことがあります。

AIは元画像の髪型について、

「今のここが素敵なので、この部分を残して活かして……」

というように、現在の状態を褒めながら提案してくれることがあります。

でも美容師側から見ると、

「いや、そこ変えたいねん」

「そこ伸びてるやろ」

「そこが重いんちゃう?」

と思うこともあります(笑)。

今の髪型からの延長線上で提案しているのかもしれませんが、実際のカウンセリングでは、今のどこが好きで、どこを変えたいのかを本人から聞く方が分かりやすい。

専門用語を覚えて、その文章どおりにオーダーする必要はありません。

→ 「おまかせ」「2センチ」「軽くして」など、美容師への伝え方についてはこちらでも詳しく書いています。

持っていくなら「この部分が好き」まで教えてほしい

AIヘアカタログは、画像を見せてもらうだけでも十分参考になります。

そこにもうひとつ加えるなら、「この画像の、ここが好き」を教えてください。

前髪が好きなのか、襟足なのか、全体の丸みなのか、カラーなのか。候補がいくつかあるなら、第一候補と第二候補が分かるだけでも好みをつかみやすくなります。

そして美容師として、もうひとつ知っておきたいのが普段のスタイリングです。

「朝はアイロンを使います」

「ワックスはほとんど使いません」

「できれば乾かすだけで終わりたいです」

こうしたことが分かると、画像への近さだけではなく、家に帰ってからの再現性まで含めて髪型を考えられます。

今すぐではなく「いつかしたい髪型」を見せるのもあり

AIヘアカタログは、次回の髪型を決めるためだけに使う必要もありません。

たとえば今はミディアムだけれど、

「最終的には、このくらいのロングにしたいんです」

というAI画像を見せてもらう。

そうすると美容師は、そのゴールから逆算して今の髪型を考えられます。

今の段階でレイヤーを入れても問題ないのか。それとも、ここで切り込むと目標のスタイルまで遠回りになってしまうのか。

半年後、一年後を見ながら途中の髪型を考えることもできます。

AIで未来の髪型を見て、そこまでのマイルストーンを美容師と一緒に作っていく。

そんな使い方も面白いと思います。

AIヘアカタログは「完成保証書」ではなく、相談するための資料

AIで自分の髪型を変えてみるのは楽しいですし、その画像を美容室へ持ってきてもらうことにも僕は賛成です。

何もない状態から言葉だけで説明するより、「こうなりたい」がずっと伝わりやすいこともあります。

ただ、ひとつだけ覚えておいてください。

自分の顔で作ったAI画像でも、自分の髪でそのまま完成することを保証する画像ではありません。

髪質、毛量、生え際、生えぐせ、襟足、ダメージの状態。そして毎朝どこまでスタイリングできるのか。

実際のヘアスタイルには、完成画像だけでは分からない条件がたくさんあります。

のぶさん

AI画像、持ってきてもらって大丈夫ですよ。ただ「絶対これになる」ではなく、「こんな感じにしたい」を一緒に考えるための資料くらいに思ってもらえるとちょうどいいです。

AIで「なりたい自分」を先に見つけられるようになると、美容師の役割も少し変わっていくのかもしれません。

美容師がゼロから髪型を提案するだけではなく、お客様が見つけたゴールと実際の髪を見比べながら、

「あなたの髪なら、ここをこう変えましょう」

と現実的な形へ調整していく。

AIが見せてくれた理想と、鏡の前にある本当の髪。

その間をつないで、毎日扱える髪型へ翻訳する。

それも、これからの美容師の役割のひとつなのかもしれません。